減量の戦いは勝ち目がある。

減量のための努力は勝ち目のない闘いですかこの闘いに勝利を収めるのは,やせている人が考えるほど簡単なことではないこれは各方面で繰り広げられている闘いです。
絶食すれば,ぜい肉はすぐに落ちます。
流動食にすれば,割と早く減量できます。
ジョギングも減量に効果があります。
歩くだけでもぜい肉は徐々に減ってゆきます。
カロリー計算をして,取り入れる食物の記録を付ける人もいれば,思い切った手段に訴える人もいます。
食べ物を前にした時に意志の弱さに負けないよう針金であごを固定した人や,手術によって消化管の特定の部位にバイパスを設けたり,胃を切除したり,また脂肪の層から脂肪の塊を吸い取る処置を施してもらった人もいます。
これほど様々な方法があるのですから,勝利はすぐに得られるに違いありません。
ところが,それほど速やかに勝利を収められるわけではありません。
脂肪細胞は一度敗北してもまた勢力を盛り返します。
多くの場合,前よりも勢いを増して再びぜい肉が付いてきます。
勝利を収めたかと思えば惨敗を喫し,闘いは一進一退を繰り返します。
苦闘が長引き,挫折感が漂い始めると,食餌制限に疲れた人は降参してしまいたくなります。
しかし,降参すべきではありません。
先は長く,道は厳しくとも,たゆむことなく努力する人には勝利が約束されています。
ですから,気を取り直し,闘いが熾烈なものであればそれだけ勝利も喜ばしいものになる,ということを思い出すようにしましょう。
脂肪に対する闘いを始めるに当たって,自尊心や自信を保つために気持ちを引き締めなければなりません。
社会的な軽べつに耐え,痩身美に夢中になった社会からの非難を忍ばねばならないかもしれません。
だれかに客として招かれた時,自分が食べてはいけない食物を,何も知らない主人から勧められたなら,断わらなければなりません。
偏見を抱く人が邪険な批判をし,あなたに大食家という汚名を着せても,それに耐えてゆかねばなりません。
前者は親切心によってあなたの心をくじき,後者はあなたの外見からあなたについて早計な判断を下します。
「食べ過ぎなければ,太り過ぎることはない」という,単純に割り切ったお決まりの文句は無視しなければなりません。
そういう言葉を聞くと,問題は単純のように思えますが,実際は非常に複雑なのです。
確かに,燃焼する分量以上のカロリーを取らなければ体重は増えないのですが,多くの場合,カロリーは摂取量全部が燃焼するわけではありません。
いろいろな原因があって,カロリーの多くは脂肪細胞の中に脂肪として蓄えられます。
それで,太り過ぎの人にとって,手ごわい敵と闘っていることを認めて支えとなってくれる友人がいなければ,それは孤独な闘いとなる場合があります。
実際,それは大変な苦しみになることがあります。
しかし,その苦闘の複雑さについて理解する前に,自分には減量する必要があるのだろうかという,考えてみるべき質問があります。
一部の国々では,やせることが一種の盲目的崇拝になっています。
中にはやせ過ぎて栄養失調になってしまったり,神経性食欲不振症や多食症という極端にまで進んでしまう人もいます。
体重だけを基準に判断するよりもむしろ,体に占める脂肪の割合を指針としたほうがよい,と科学者たちは考えています。
男性の場合,脂肪が体重の20なしい25%,女性の場合は25ないし30%になったときに,体重の多い人は肥満体と定義されます。
言うまでもなく,身長と体重だけを基にした表にある特定の数値で判断するのは不適当です。
ある研究者はこう述べています。
「だが,二人の人の身長と体重が同じであっても肥満の程度や全般的な体調は大いに異なる場合があるという点は,その表には現われていない。
体積は同じでも脂肪の付いていない組織や筋肉のほうが脂肪よりも重いので,体重だけでは健康状態について余りよい判断はできない」。
7ページの表のような,年齢や性別や体型を考慮に入れたうえで体重の許容範囲を示した表は,やはり完全とは言えないものの,より信頼のおける指針となります。
脂肪細胞は,場所を,それも余りにも多くの場所を取って体じゅうに沈着しているので,極めて無精な代物だと考える人は少なくありません。
脂肪組織はトリグリセリド(脂肪)の単なる貯蔵所ではありません。
脂肪組織のおよそ95%は不活性の脂肪ですが,残りの5%は,血液や血管などの構造物質と,体の新陳代謝に関係する細胞に存在しています。
それらの細胞は非常に貪欲な場合があり,脂肪組織の中を通っている毛細血管を流れる血液から栄養素をむさぼり取り,脂肪に変えてゆきます。
脂肪を合成したり,合成された脂肪を脂肪酸にして体のエネルギーの必要を満たすため血液中に放出したりする働きを促進するのは特定のホルモンです。
ある人々は絶望的になりますが,脂肪細胞は無精どころか,残業までしているのです。
脂肪細胞はいったん体内に定着すると,それ自体が大きくなるだけで数は増えない,と以前には考えられていましたが,最近の研究では,その逆であることが証明されました。
ある科学文献はこう述べています。
「脂肪組織の貯蔵容量は,初めは脂肪細胞の中身である貯蔵脂肪,トリグリセリドが増えることによって増大するが,後に,利用可能な脂肪細胞がすべて飽和状態になると,新しい脂肪細胞が形成されることによって増大する」。
ほとんど空の状態の時は脂肪細胞は非常に小さいのですが,脂肪を含むにつれてその直径は10倍の大きさになる場合があります。
それは体積が約1,000倍に増大するという意味です。
体内には,脂肪が集まりやすい特定の脂肪貯蔵所があります。
男性の場合はウエスト,女性の場合は臀部や大腿部です。
そのような人たちは皮下脂肪を減らすかもしれませんが,それらの部位の脂肪はなかなか減りません。
研究者たちは,脂肪細胞の表面に小さな分子があることを発見しました。
それらはアルファおよびベータ受容体と呼ばれています。
アルファ受容体は脂肪の蓄積を刺激し,ベータ受容体は脂肪の分解を促進します。
脂肪の蓄積を促す受容体は,女性の臀部や大腿部の脂肪細胞に,また男性の腹部に沢山あります。
ある女性は体の脂肪を15%減らしましたが,臀部や大腿部の脂肪は実質上全く減りませんでした。
ある男性は大幅な減量に成功しましたが,腹部は依然として太鼓腹です。
カロリー計算は,多くの人が考えるほど簡単な減量法ではありません。
カロリーはどれも同じというわけではありません。
炭水化物で100カロリーを摂取すれば,そのうちの77%は体の脂肪として蓄えられるかもしれません。
23%は炭水化物を消化するのに消費されます。
しかし,バターで100カロリーを摂取すれば,97%は脂肪として蓄えられ,消化の際には3%しか消費されません。
その理由は,油脂食品は,すでに化学的に体の脂肪と近似しているので,脂肪として蓄えられるのがずっと容易だからです。
カロリー計算は話の一部にすぎません。
カロリーの源も重要です。
カロリーは等しくても,脂肪の多い食物のほうが炭水化物よりも,体を太らせる可能性は大きく,滋養分は少ないのです。
ある研究で,幾人かの男性は炭水化物の多い食事ばかり7か月間続けて体重が14`増えましたが,脂肪の多い食事ばかり続けた男性は3か月で14`太りました。
流動食にすればもっと早く減量できますが,しばしば合併症を引き起こします。
1970年代に液体タンパク食餌療法が奨励されましたが,1977年の終わりまでに,その結果として60人ほどの人が死亡したと言われています。
それらの死者の多くの直接の死因は,心室の不整脈,すなわち心室の急激かつ不規則な拍動だったと考えられています。
現在の流動食は,タンパク質だけでなく,炭水化物,脂肪,ビタミン,ミネラルなども添加されることにより改良されてきました。
しかしそうではあっても,急激な減量を引き起こすそのような低エネルギー食餌療法にはやはり欠点があります。
急激な減量を引き起こす大幅なカロリー削減食餌療法を行なうと,体の新陳代謝が鈍くなります。
24時間もたたないうちに代謝速度が落ち始め,2週間で20%も落ちてしまうことがあります。
低カロリーの流動食について尋ねられたある医師は,それに関して次のように述べました。
「カロリーが非常に少ないので新陳代謝はゆっくりしたものになります。
それで,怒りっぽくなったり,疲れやすくなったりします。
それに,長期的に見れば,減る体重の70%までは,脂肪ではなく,筋肉です」。
食餌制限をする人は,筋肉ではなく,脂肪を減らしたいと思っています。
筋肉組織は体の中で一番カロリーを燃焼させる所です。
それが減少すると,体の基礎代謝率,つまり呼吸や細胞の修復といったごく普通の,体の機能を維持するために用いられるエネルギー量は低下します。
それは体が消費するエネルギーのおよそ60ないし75%に相当します。
このように代謝が低下するので,厳しい食餌制限を数週間続けると,体重がそれ以上減らなくなる場合が多いのです。
16歳の時から食餌制限によって減量を続けてきたある女性は,初めての子供を出産した時,体重が約11`増えましたが,すぐに減量できました。
ところが二番目の子供を出産した後,体重が約22`増え,今度は減量できませんでした。
彼女はこう報告しています。
減量クリニックへ行って,食事の量を1日500カロリーに抑えたことがありました。
最初の月に4.5`,翌月には0.9`減ったのですが,その後の2か月間は,忠実に計画に従ったのに,体重は全く減りませんでした。
カロリー摂取を1日800カロリーに上げたら,週に0.9`の割で体重が増えてゆきました。
とても辛い思いをして5.4`減らしたのに結局またそれだけ増えてしまって,本当にがっかりしました」。
急な食餌制限をすると,代謝が鈍くなるのに加え,脂肪の貯蔵を調節するリポプロテイン・リパーゼという酵素がより活発になって脂肪を蓄えてゆくことがあります。
いったん減量しても,再び通常の食事を始めると体重が元に戻ってしまうことがあるのはそのためです。
事実,大多数の人―極度の肥満体の人々の95%,また全体の66%―は,減量してもまた元の体重に戻ります。
とはいえ,元に戻る体重のほとんどは,減った筋肉ではなく,脂肪なのです。
筋肉が少なければ,代謝も低下するため,さらに多くの脂肪が蓄えられてゆくことになります。
以前に食餌制限をして減量したものの,また体重が元に戻ってしまった人の場合,その後の食餌制限で再び減量するのは前よりももっと困難になる,という点にある研究者は注目し,「食餌制限をすると,後から行なう減量が抑制されるのだろうか」と考えました。
肥満体のネズミを使ったテストが行なわれました。
最初の食餌制限では,余分の体重を減らすのに21日かかり,食餌制限をやめた後,元の体重に戻るのに45日かかりました。
2度目の食餌制限では,減量に46日かかりましたが,元の体重に戻るのに14日しかかかりませんでした。
減量に要する期間は2倍,元の体重に戻る速さは3倍ということです。
人の場合も同じなのでしょうか。
111人の患者は,低カロリー食で1週間に平均1.4`やせましたが,二度目に同じ食餌制限を行なった時には,1週間に1`しかやせませんでした。
こうした結果は,他の二つのグループの人々を対象に行なわれた追試によって立証されました。
多くの専門家は,肥満を病気と呼び,それは遺伝子の問題であり,生まれつきのもので,体には体重の設定値というものがあって,ある人は太るよう定められているのかもしれない,と言います。
しかし,肥満に関するこの理論にすべての科学者が同意しているわけではありません。
「ニューヨーク科学アカデミー紀要」によれば,太り過ぎは,何が根本原因であるにせよ,体の化学作用の変化が問題となっているようです。
肥満状態は,いったん定着すると,肥満そのものが引き起こす新陳代謝の二次的変化によって安定させられるのかもしれない」と述べられています。
同「紀要」は,その設定値理論をも疑問視し,「本誌は,どちらの仮説についても裏づけとなる証拠をほとんど何も提示していない」と述べています。
太り過ぎの原因としては腺障害,特に代謝の調節に主要な役割を果たす甲状腺の障害が挙げられています。
しかし,甲状腺の機能不全の原因は食べ過ぎにあるという点を指摘する人もいます。
その点について米国テキサス州のリグル博士はこう述べています。
「下垂体だけでなく甲状腺も代謝をつかさどっている。
しかし,人が栄養の偏った食習慣を始めると,それらの腺は自らが作り出す物質の生成に必要な養分が得られなくなる,ということを忘れてはならない。
ゆえに,腺障害は無思慮な食習慣が発端となる場合がある」。
肥満について研究している人をも含めて,多くの人が肥満の原因としてすぐに連想するのは,食べ過ぎです。
「しかし,ほとんどの肥満体の人々にとって,余分の体重や脂肪組織の蓄積は,長期にわたるもの,そして多くの場合,知らないうちに進行するものらしい。
つまり,多くの日々にわたり,筋肉や代謝作用に使われるカロリー以上に過度にカロリーが吸収されるのだ」。
(「ニューヨーク科学アカデミー紀要」,1987年,343ページ)身に及ぶ健康上の危険を考えると,これは確かにまじめに考えなければならない問題です。
「数多くの健康上の危険は肥満と関連している。
肥満が原因で心肺機能が損なわれ,内分泌腺の機能が変化し,情緒障害が引き起こされることがある。
高血圧症,耐糖能異常,高コレステロール血症などは,普通の体重の人よりも太り過ぎの人たちによく見られる。
それゆえ,肥満のために,高血圧,卒中,II型すなわちインシュリン非依存型糖尿病,ある種のガン,胆嚢の病気などにかかる率やそういう病気で死亡する率が高くなるのも驚くべきことではない。
長期的に見れば,肥満はアテローム性動脈硬化による心臓病の,独立した危険要因とも考えられる」―アメリカ医師会ジャーナル,1988年11月4日,2547ページ。
穏やかならぬ話ではありませんか。
しかし,決して難しい言葉が羅列されているからではありません。
減量がどうしても勝利を収めなければならない闘いであることは明らかです。
勝利を収めるのに役立つ方法があるでしょうか。


posted by Yy at 14:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | スリム
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